極北

  • 「極北」マーセル・セロー著(村上春樹訳)

帯には「極寒の迷宮、極限の孤絶 予断を揺さぶる圧倒的な小説世界ー」とある。プロアマ問わず、書評もたくさんある。

私が気になったのは、地球の年齢とこの小説に描かれている年代に関する記述である。登場人物に、「「現時点」で地球が誕生して50億年に近づきつつある」と言わせている。これで私は結構混乱してしまった。この小説は近未来を描いているのではなく、今から3億年も未来の話なのか?そうだとすると、なぜ、人類は全然進化を遂げていないし、大陸の地形もほとんど変化していない。何かちゃぶ台返しのような大どんでん返しでもあるのだろうか?

読み終えて、↑の懸念は杞憂であったことがわかる。著者は地質的年代に対して無頓着なのだ。45億年も、47億年も、いずれもまとめて50億年弱ということなのだ。ホモ・サピエンスが誕生してわずか100万年ほどというのに、1億年を軽々しく切り上げたり四捨五入して欲しくない!

f:id:msugioka:20170922105323j:plain