「チェルノブイリの祈り」スベトラーナ・アレクシエーヴィチ

一番最初に消火活動を行った消防士の妻、疎開を余儀なくされた人々、精神科医、現地での対応に駆り出されたアフガン帰りの兵士、居住禁止地区に舞い戻ってきた人々(サマショール)、いろいろな形の「チェルノブイリ人」が、それぞれのチェルノブイリを語り、嘆き、叫び、つぶやく。そうすることにより、チェルノブイリが徐々にはっきりとした形を持って浮かび上がってくる。


チェルノブイリは戦争とは違う。ナチスとの大祖国戦争を経験した人々のことば。戦争は姿がはっきりしている。目で見えるし、音も聞こえる、戦争は恐ろしいが、過ぎ去れば取敢えずお仕舞。でも、放射能は見えない、音はしない、においもない。そして終わりもない。

 

ヒロシマは、戦争と放射能、両方を経験している。

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