「阿房列車」内田百間、中公文庫

「阿呆などと云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿呆だなどと考えてはいない。用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪に行って来ようと思う。」

こうして「阿房列車」は始まるのだけれど、なかなか肝心の列車は出発しない。何故二等車はダメなのかとか、金策のアレコレとか、バカバカしい話が長々と続く。出発したら、今度は同行の「ヒマラヤ山系」君との微妙にすれ違う、全くどうでもいい会話が始まる。このバカバカしくてどうでもいい話が何故かとっても面白い。

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