フランス語の誕生

「ヨーロッパの言語」(岩波文庫)アントワーヌ・メイエ

ケルトの水脈」(講談社学術文庫)原聖

 

フランク王国が3つに分裂し、フランス、ドイツ、イタリアの基となった。フランク族はゲルマン系であるが、なぜフランス(ガリア)ではロマンス系の統一フランス語が形成され、ドイツの地ではヴァリエーション豊かなドイツ語が形成されたのか、今一つ理解していなかった。そのことの気づかせてくれたのが、メイエの「ヨーロッパの言語」であり、この疑問に答えてくれたのが「ケルトの水脈」である。

 

ガリアの地にはローマ本国からの入植者が多く、入植者たちのことばであるラテン語(俗語、話しことば)をベースとして後のフランス語が徐々に形成されていった。そして、書きことばとしての古典ラテン語は教会を中心として欧州のエリート階級の共通語として近代まで生き延びたが、17世紀ごろに統一フランス語がラテン語に置き換わり現在に至る。一方、ガリアと異なりゲルマンの地では、フランク族を含むゲルマン諸族の人口がローマからの入植者を圧倒しており、ゲルマン語がそのまま残り地方ごとの違いが比較的大きな現代ドイツ語が形成されていったということらしい。

 

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