鉄道大バザール
「鉄道大バザール」ポール・セルー
評価が難しい鉄道旅行記。前半、トルコ、ペルシャでの筆致は、横柄でいやらしいアングロ・サクソンが鼻に付く。ところがインドあたりでそれが和らぎ、ベトナムにくるとすっかり引き込まれてしまった。
でも日本での記述でまた困惑。いや、記述が気にくわないというわけではない。一人の旅行記を読んだからといって、その国のことをわかった気になるのは全然間違いだということを改めて思い知らされたからだ。
そして最後はソ連時代のシベリア鉄道、モスクワ到着で筆者のストレスは頂点に達したかと思ったら、ワルシャワへ向かうモスクワのベラルース駅で最悪のトラブル。これはロシア人が如何の斯うのというよりは、著者の単純なボーンヘッド、彼の憤りは同情できるけど。