Entries from 2018-01-01 to 1 year

「コンビニ人間」村田沙耶香著

ラディカルでロックだ。 カフカの「変身」のようでもあり、芥川龍之介を彷彿させるようでもある。「男を飼わない」と言っていた米原万里さんのことも思い出す。

「重力ピエロ」伊坂幸太郎著

「山椒魚は悲しんだ」 「メロスは激怒した」 …… 「春はあけぼの ようよう白くなりゆく山際…」 これで会話が成り立ってしまう。とても好きなタイプの小説だ。

「ロング・エンゲージメント」

WW1をモチーフに女性の視点で描かれたフランス映画、最初から最後までセピア色の映像が美しい。哀しみ、可笑しみ、フランス映画に良さがギッシリ。⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 写真はPCの中の映画の場面をスマホで撮影。問題ある場合、ご指摘ください。

“TESTAMENT OF YOUTH”

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ イングランドの美しい田園風景、静謐なオックスフォード大学、WW1西部戦線、存在すら知らなかったこの映画、素晴らしく気に入りました。原作はVera Brittain。

映画「黄金のアデーレ」

⭐️⭐️⭐️⭐️ 「記憶を思い出のモノと共に次の世代に受け継ぐ」大好きなタイプの映画。

「戦場のコックたち」深緑野分、東京創元社

合衆国陸軍第101空挺師団管理部付きコックたちの物語。 1944年のノルマンディー上陸から翌年5月のドイツ降伏まで一気呵成に自体は進んだ訳では無い。1944年のクリスマスを前にドイツ国境を前にして、オランダ、ベルギーで連合軍もひどい犠牲を被ることになっ…

「ドリナの橋」イヴォ・アンドリッチ

“THE BRIDGE OVER THE DRINA”, by Ivo AndricTranslated fro the Serbo-CroatThe Harvill Press, London 16世紀にトルコによって石橋がドリナ川に掛けられる。その石橋のあるビシェグラードを舞台に、400年弱にわたる人々の営みが、オムニバス形式で綴られ…

「海と月の迷路」大沢在昌(講談社文庫)

1959年、炭鉱のための島、軍艦島。5000人以上の住民が岩礁のような島に暮らしていた。学校、病院、映画館があり、そして駐在所。そこに赴任してきた若き巡査が主人公。 謙虚で、真面目で、冷静さを失わず、社会に対する自信の役割を愚直に追い求め、周囲とゴ…

「阿房列車」内田百間、中公文庫

「阿呆などと云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿呆だなどと考えてはいない。用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪に行って来ようと思う。」 こうして「…

「新版 放浪記」林芙美子

凄まじい生命力! 悲しさや惨めさをコトバとカラダで蹴散らし突き進む。自分自身に対する絶対的な自信のようなものを感じる。 そうだ、林芙美子は元祖「西原理恵子」だ!

FIFA Code of Conduct

何かないかな?と思っていたら、それらしきものがありました。 https://www.fifa.com/about-fifa/news/y=2002/m=4/news=code-conduct-for-football-81746.html

「その女アレックス」ピエール・ルメートル

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ いくつかの著名な賞を獲っているフランスの犯罪小説。テンポは速いがテーマはずっしりと重い。 「読むべきものを読む。なすべきことをきちんとやろうとする。勤勉。それはつまり、情緒的に未熟だってことか?」 主人公(カミーユ警部)の自問に虚…

サストロダルソノ家の人々

「サストロダルソノ家の人々ージャワ人家族三代の物語」ウマル・カヤム著、段々社 副題通りの内容で、ジョグジャカルタ、ソロ周辺といったジャワの奥座敷を舞台にした小説。いや、小説というよりは、小説の体裁をとった「近代インドネシアの歴史とプリアイ階…

Kristalnacht

「騎士団長殺し」村上春樹 “Whiplash: How to Survive Our Faster Future”, Ito Joi etc 村上春樹の作品はしばらく手にしていなかった。「海辺のカフカ」以来だと思う。物語のトーンは相変わらずで、結構ウンザリする部分も少なくない。でも一旦読み始めると…

「おらおらでいぐも」若竹千佐子

自身の心の底にある襞をかき分け、偽りのない自身を取り出し、相応しい標準語をあてがって作られた私小説は珍しくないと思う。「おらおらでいぐも」はそうでは無く、自身の言葉(母語)を載せていくことで出来上がった小説だ。圧倒されました。 「東北弁とは…

「AI vs. 教科書が読めない子供たち」新井紀子

「コンピューターが数学の言葉だけを使って動いている限り、予見できる未来にシンギュラリティが来ることはありません」 ここでいう数学の言葉とは、論理、確率そして統計だそうで、それ以上のものは現時点ではないそうだ。不完全な記号体系である自然言語の…

「お金 2.0、新しい経済のルールと生き方」佐藤航陽

平易な言葉で語られているけど、内容は極めてラディカル。 「お金はコモディティ化し、いまほど貴重なものとは考えられなくなると予想される」、とか 「人材やカスタマーベースはBSに表現されない」、とか面白い。 現代の貨幣の多くは中央銀行の信用に基付き…

「サイクス=ピコ協定百年の呪縛」池内恵(新潮新書)

まず最初に、「中東の混乱の原因はWW1時の悪名高きサイクス=ピコ協定。現在欧州が難民問題に苦しむのは当然。以上!」というような態度を真正面からバッサリ斬り捨てる。 オスマン帝国VSロシア帝国という切り口から「東方問題」を分析し、中東全体を俯瞰し…

WW1

“The Guns in August”, by Barbara W. Tuchman (1962) “The War That Ended Peace: The Road to 1914”, by Margaret MacMillan (2013) 「夏目漱石」(岩波新書)十川信介著 タックマン氏の著作はキューバ危機の判断の際にJFKが手元に置いていたという逸話も…