読書ノート「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」エマニュエル・トッド

以下すべて第3章ホモ・サピエンスの最終部分からの引用(154−155頁) 「…集団の一体性は、他の集団への敵意に依存する。内部での道徳性と外部への暴力性は機能的に結合している。したがって、外部への暴力性のあらゆる低下は、最終的には、集団内で道徳性と…

忍城

12月5日(日)。曇天、昨日より一段と冷え込んだらしいが、徐々に気温が上昇。井の頭街道、環七、新大宮バイパスを使い、車で忍城のある行田へ向かう。忍城周辺はとてもきれいに整備され、水鉢に切り花が浮かべられ、好印象。印象が良かったので、街の中心部…

百蔵山、扇山

12月4日(土)。この冬一番の冷え込みらしいが、風が強くなく、寒さをあまり感じない。8時半前に下北沢から井の頭線に乗り、高尾駅からJRへ乗り継ぎ。思いの外混雑しており、JR藤野駅辺りでようやく着席。猿橋駅で降り、登山口まで徒歩で舗装路を進む。登山…

エマニュエル・ドットの思考地図

「人生というのは、学習とある程度の自由とちょっとした成功のための駆け引きと言えば、まあなんとかやっていけそうな気がするわけです。」(202ページ) 「道徳的枠組の崩壊の結果として見えてきたのは、個人というのがいかに小さく孤独かということでした…

「自由に老いる」海老坂武

副題は、「おひとりさまの あした」とある。エピローグによれば「老いたおひとりさま」にも「あした」はあるのだ。 備忘目的で、気になった場所をピックアップ 第一章21ページ、星雅彦氏の詩の一節が引用されている そこに生きる無意味があっても 幸福を見出…

国際秩序

今年(2022年)2月末に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻が終わらない、終わる気配も見えないし、たとえ停戦が叶ったとしても、両国及びその周辺に平和が戻るまでに相当の時間と努力が必要だろう。 「力による他国への侵略は、国際秩序の根幹を揺…

戦争

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻。実際に進行が始まるまでは、心のどこかでプーチンを支持していた。少なくとも彼の言い分も尤もなところが多いと思っていた。でも実際に戦闘が起こるとそんなことはどうでも良くなった。 マスメディア、SNSでさまざまな…

プーチン論文

ロシア語オリジナルは↓ http://www.kremlin.ru/events/president/news/66181 抄訳と解説はこちら↓ https://globe.asahi.com/article/14405289 18-19世紀に欧州で確立した国民国家(ネイション・ステート)とは異なる歴史的経緯を経て現在に至るロシア(中国…

「中世都市」アンリ・ピレンヌ(講談社学術文庫)

「13世紀にコミューンに建立された素晴らしい司教座聖堂は、市民がその建立に寄与した際の喜びに溢れた熱心さを抜きにしては、考えることができないであろう。それは単に神の館ではない。それは、司教座聖堂をその最も美しい装飾とし、そして司教座聖堂の荘…

「叙任権闘争」オーギュスタン・フリシュ(ちくま学芸文庫)

日本を離れる前に早稲田の書店で偶々手にして購入。思い掛けず、自分の興味にピタリとハマる内容。 高校の世界史で教わった「カノッサの屈辱」、教科書・参考書を読んでも、教師の説明を聞いてもピンと来ない、何だかよく分からない歴史上の出来事が、この書…

ベイシックインカム

予てからの金融緩和(Quantitative Easining)に加えて、最近は資源高、原材料高、運賃高、といったコストアップ要因をビジネスの場でひしひしと感じ始めている。 今後は、卸売物価だけではなく徐々に消費者物価にもその影響が出て、臨界点を超えたら一気に…

アメリカの政治制度は中国の政治制度より優れているのか?

民主主義国家がそうでない国家よりも優れているのか?端的に言えば、アメリカのような国家形態が中国やロシアより優れているのか?人々にとってより望ましいのか?人々の期待や願いをより幅広くくみ取り、政策に反映することができる仕組みなのか?一般の人…

オデッサファイル(映画)

戦争は平和条約ですっかり終わるわけではない。

Последнее Испитание

様々なエピソードが散りばめられている深みのある映画。 舞台となった劇場で演じられる予定であったのは「ロミオとジュリエット」、これを「親たちの世代の憎しみが、子供たちの世代へ苦しみをもたらす」という角度から、ロシアとチェチェンの紛争の歴史と重…

Finding Today

毎日何らかの発見あり。今日は初めて通勤路以外の道路を車で走ってみた。こちらZeeland州の運転速度はかなり早い。制限速度より少し遅めで走っていたら、全てのクルマにぬかれてしまった。Aセグ運転しているお年寄り、ボートを引っ張っているアコード、悉く…

Day9 ロッテルダム

6月2日にアムステルダム到着、そのままZeeland州のMiddelburgのホテルへ移動。 今日、6月11日午前9時に、運河沿いにあるMiddelburgの市役所でBSN番号(住民登録?)の申請完了。後は、市役所からの通知を待つだけ。 その後そのままMiddelburg駅からRotterdam…

「密やかな結晶」小川洋子(講談社文庫)

文章にフリルが多すぎる、それらのひとつひとつの表現はとても美しいのだけれども。 「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」に似てるかも。 そんなことはさておき、 私自身の記憶は、「真っ暗な台所と真っ赤な竈門の火」まで遡ることができる。多分…

「<イスラーム世界>とは何か 「新しい世界史」を描く」羽田正(講談社学術文庫)

これほどまでにラディカルで自身の研究に対して建設的且つ批判的になれる歴史学者を私は知らない。 「イスラーム世界」の意味するところを真摯に探究し、一定の手応えを感じて本書のオリジナルが出版されたのが2005年。それから15年後の2020年末に文庫本化さ…

「ヒトラー演説 熱狂の真実」高田博行著(中公新書)

ヒトラーの全演説で使われている単語、フレーズを統計的に分析するということで、面白い結論を期待して読んだが、少々期待外れ。ナチ党による政権獲得までと、獲得後のヒトラーの演説に現れる単語・フレーズの分析は、それ自身で何かを語るというよりは、歴…

ニュースを読む

このところ、連日インドでのコロナの猛威が報道されている。特に医療用酸素不足が強調されている。 酸素不足以外は特に問題はないということなのか?それとも、酸素不足にも関わらず、自動車産業を始めとする産業側が限られた酸素の確保を執拗に求めるため、…

最後の授業

「帝国・国民・言語」平田雅博+原聖編(三元社) ドーデの月曜物語の中にある「最後の授業」、これはキュリー夫人が子供の頃に帝政ロシア下のポーランドの学校で経験したロシア語の押し付けとは違うもの、むしろ真逆であると思い込んでいた。アルザスの子供…

フランス語の誕生

「ヨーロッパの言語」(岩波文庫)アントワーヌ・メイエ 「ケルトの水脈」(講談社学術文庫)原聖 フランク王国が3つに分裂し、フランス、ドイツ、イタリアの基となった。フランク族はゲルマン系であるが、なぜフランス(ガリア)ではロマンス系の統一フラン…

「ウォール街の物理学者」ジェイムズ・オーウェン・ウエザーオール、早川書房

とても面白い本です。ランダムウォーク理論、効率的市場仮説、CAPM等の限界(前提)が何とか理解できたような気にさせてくれます。エピローグでウォーレン・バフェットの「数式をひっさげたオタクたち」(このオタクたちが金融市場のリスクを高めている!)…

「ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺言」石光真人編著(中公新書)

明治人、会津人、そして軍人である柴五郎の「遺書」と石光真人氏によるその解説が本書の構成である。 会津生まれの明治人、柴五郎(陸軍大将)の遺言と題された明治維新前後の回想記は、リズミカルで歯切れ良く、そして格調高い。 薩摩等に対する恨みを隠す…

うつりゆくこそことばなれ

「ぐっちー」さんが急逝されてほぼ一年が経ちました。私は2005年秋ごろから彼のブログの読者で、彼のおかげで2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻の2-3年前からサブプライムローンのリスクを知ることができました。逝去される前の数年間、何度か彼の写真を…

Oleg Tinkov, Олег Тинков

モスクワ駐在中に、ティンコフという名前のビアガーデンがモスクワのイギリス大使館近くにオープンしたと聞いて、もしや?と思った。話を聞いてみて、あのペトロシップのティンコフだと分かった。彼とは一度だけ会ったことがある。 1999年の初め、多分1月ご…

Modern Money Theory(MMT理論)

『通貨発行権を持つ政府が、自国通貨建てで借金をするのに躊躇する必要は無し。インフレの兆しが見えた時点で、財政措置、金融政策を遅滞なく実施すればOK』MMTを要約するとこういうことであろうか? MMT擁護派、懐疑派、反対派、いろいろと議論が喧しい。MM…

『レイルウエイ 運命の旅路』(映画)

第二次世界大戦、シンガポール陥落で日本軍の捕虜となり、泰緬鉄道工事に従事することになったイギリス人エリック・ローマクスの実話に基づく物語(の映画化)。 見た目は冴えない鉄オタのエリックをコリン・ファースがうまく演じてます。このエリックの風貌…

「裏日本 ー近代日本を問いなおすー」古厩忠夫(岩波新書)

韓国の国連加盟は1991年であったことをこの本で気づく。 西ドイツは1973年、そして日本は1956年。 本書の内容とは直接関係無いけど、一番印象・記憶に残った。

"The Second World War" by Anthony Beaver

一番衝撃的だったのは人肉食の記述。 レイプや細菌兵器の人体実験は大っぴらに語られるが、人肉食はほとんど語られない。あまりにも悍しくすくいようがないからか。。。