The Almost Nearly Perfect People

(「北欧諸国の民族性をネタにした軽い読みものだろう」と)期待値が低かったせいかもしれないけど、かなり面白く読めましたし、あれこれ考えを巡らす切っ掛けをもらいました。

l Swedenは一種の全体主義国家ではないか?という著者(デンマーク人のパートナーを持つイギリス人)の見方・仮説
Ø スウェーデンでは、個々人が誰にも依存しないで済むような国造りに邁進している(国家主導で、徹底した機会&結果平等を推進し、富の分配を差配する)
Ø ある意味、アメリカ以上の個人主義。但し、アメリカの個人主義が政府(特任連邦政府)を当てにしないことを前提とした個人主義であるのに対し、Swedenのそれは真逆(家族を含む他者に全く依存しないで済むように、国家が個々人を直接にケアすることを基礎に置く)
Ø 即ち、個々人の多様性では無く、上からのイデオロギー・価値観の押しつけではないかというのだ
l Swedenの行き過ぎたPolitically Correctness
Ø 窮屈&退屈では無いのだろうか?子供の時からそういう環境で育てば、それほどストレスを感じないで済むのだろうか?
Ø Modernization(社会の進歩)とは何だろうか?ゴールはあるのか?そもそもゴールは共有できていないのでは?

Swedenの中立とは?
l WW2時、Swedenは中立を守った!?
Ø 周辺諸国フィンランドノルウェー)にとってはスウェーデンの「中立」は一種の裏切り行為ともみなされ、戦後そして現在に至るまでスウェーデンに対して周辺欧州諸国の人々の間に複雑な感情が残ったまま
Ø 隣国或は近隣諸国が戦争を始めた場合に、中立でいることはあり得るのか?経済的には、少なくとも短期的には、とっても得するが、中長期的には誰からも信用されなくなるのでは?(少なくとも、中立の立場から、積極的に和解に向けて努力をしない限り…。でもそうすると、純粋の中立維持は事実上不可能になるのではないだろうか?)
Ø ナイーブに、自衛隊日本国憲法を両立させるには、日本が周辺主要国(中国、韓国、北朝鮮、ロシア、アメリカ)と条約を結んだうえで永世中立国になるのが目指すべき方向だろうと思ってましたが(今も思ってます)、実際に周辺諸国で武力紛争が生じたときに、中立でいることが出来るのか、中立の場合何ができて何が出来ないのか?じっくりと検討が必要。

l フィンランドはマーシャルプランを受入れず、自力で戦後復興を成し遂げた
Ø フィンランド化、ソ連邦の影響はかなり大きかったということか?

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