「知ってはいけない」及び「知ってはいけない2」矢部宏治著

シンプルな疑問に基づき、丹念に安保関連の公開済み文書を徹底的に読込み、書面に書かれた記録を分析して出来上がった書籍である。安全保障問題というのは専門家でないと議論できない、議論してはいけない雰囲気があると常日頃感じていたが(安保専門家がそういう匂いをプンプンさせながら語るのを何度も目にしてきたせいだろう)、その大元の理由がようやく理解できた様に思う。

ただし、これから我々日本人は如何するのか?という議論の部分に関しては必ずしも筆者に賛同できない。「こんな米軍との隷属的な関係を有するのは日本だけだ」という言説が、筆者のそれまでの精密な分析推論を台無しにしている様に思われるのだ。ちょうど「日本国記」の筆者が「こんな素晴らしい国は日本だけだ」と書き散らし失笑を買っているのと全く同じ構造に思われるのだ。

それにしても安倍総理は一体何を如何したいのだろうか?もしかして、岸、佐藤、安倍という政治家一族は実は何も考えてなかった(政治家としてのビジョンが無いのでは?)と本書を読みながらゾッとするのであった。

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