読書メモ 千野 境子 インドネシア9.30クーデターの謎を解く: スカルノ、スハルト、CIA、毛沢東の影

9.30事件の背景と真相

 

背景と真相

ー米ソ間の冷戦に加え、1963年からは中ソ対立

ー大躍進に失敗した毛沢東は、中ソ対立のなか、躍進を続けるインドネシア共産党PKI)に対し、陸軍将校を拘束するクーデタを教唆

PKIは勢力を伸ばしつつも、反対勢力の陸軍のプレッシャーを受け、しっかりとした計画の無いまま、クーデタを実行

ークーデタ計画はスカルト、スハルト両氏とも事前に知っていた

PKIに心情的なシンパシーを感じつつ、強くなりすぎている(自身のコントロールが難しくなっている)と感じている陸軍の力を一定程度削ぐという思惑の元、スカルノはクーデタ計画を傍観

 

ー但し、このクーデタ計画は陸軍将校を拘束するだけであり、直ちに処刑とは予想だにしていなかったため、実際に高速予定者のほとんどがその場で処刑されたことを知ったスカルノは動転し、事件に対して冷静・適切に対応・行動することが出来なかった

ー一方、このクーデタ計画を事件の首謀者のひとりから事前に知らされていたスハルトは、その報告に対し反対も賛成もしなかったが、その首謀者の一人は黙認と解していた

ーだからこそ、スハルトの属するXXオフィスはクーデタ計画の包囲網外

ー一方、拘束者が直ちに処刑されたことに対して動ずることないスハルトは、事件に対し迅速且つ的確に対応し、スカルノから政権を奪取した

ー大きな流れでいうと、中国は波を起こそうとして失敗し、更に文化大革命へと悲劇の途をたどる。一方、アメリカはこの機に乗じ、一気にスハルト政権を取り込み、西側陣営にインドネシアを組み込んでいき、日本もそれに加わる。

 

f:id:msugioka:20190813232006j:image