Последнее Испитание
様々なエピソードが散りばめられている深みのある映画。
舞台となった劇場で演じられる予定であったのは「ロミオとジュリエット」、これを「親たちの世代の憎しみが、子供たちの世代へ苦しみをもたらす」という角度から、ロシアとチェチェンの紛争の歴史と重ねている。
事件発生後、解放される人質がいる。先ずは妊婦、そして外国人たち。「外国人」ということで席を立ったアルメニア人は即座に拒否され、自分はロシアのパスポートを持っているから外国人では無いと言ったオセチア人は、お前はグルジア人だからさっさと外へ出ろと促される。ロシアの複雑な民族問題が垣間見える。
この映画のヒーロー、ヒロインは今ひとつ良くわからないが、一介の歴史の女性教師が主要な役割を果たしていることは間違いない。しっかりとした知識に基づく歴史認識と宗教観。こういうのを教養というのだろう。十字軍はキリスト教徒による侵略であり、それを迎え撃ったサラディンを称えており、一般的なアメリカ映画には見られないレベルの高さである。「神はひとつ、預言者が異なるだけ」という彼女の教え子である若い父親の発言も印象的。
邦題は「パニック・イン・ミュージアム」というロシアの映画。原題のロシア語を直訳すると「最後の試み」。