Lawrence in Arabia, by Anderson, Scott

世界的ベストセラー 瀕死のオスマン帝国とロシア帝国のグロテスクな戦い、石炭から石油というエネルギーの大転換と中東での大油田の発見、英仏の貪欲な帝国主義、英国の伝統的アマチュア外交官(サイクス)のあまりにも軽率な振舞いと約束、英領インドと英領…

読書メモ 千野 境子 インドネシア9.30クーデターの謎を解く: スカルノ、スハルト、CIA、毛沢東の影

9.30事件の背景と真相 背景と真相 ー米ソ間の冷戦に加え、1963年からは中ソ対立 ー大躍進に失敗した毛沢東は、中ソ対立のなか、躍進を続けるインドネシア共産党(PKI)に対し、陸軍将校を拘束するクーデタを教唆 ーPKIは勢力を伸ばしつつも、反対勢力の陸軍…

「パリでメシを食う。」川内有緒

抜群に面白い。 フローリスト、写真家、三ッ星レストランの料理人、紳士服メゾンのカッター、ヨーヨージャグラー…。パリという場所でしっかり自分を見つめて自分で取捨選択して自分で生きていく日本から飛び出してきた人々。 添えられているモノクロの写真も…

「知ってはいけない」及び「知ってはいけない2」矢部宏治著

シンプルな疑問に基づき、丹念に安保関連の公開済み文書を徹底的に読込み、書面に書かれた記録を分析して出来上がった書籍である。安全保障問題というのは専門家でないと議論できない、議論してはいけない雰囲気があると常日頃感じていたが(安保専門家がそ…

「空を行く巨人」川内有緒

面白い。最初はわりと普通に面白く、途中からグイグイっとひこ込まれ、一気に最後まで読了。描かれている地方のふつうのオジさんが実は素晴らしく実行力があり魅力的。 自分は「帰去来」を意識する年齢になっている。

「SHOE DOG、靴にすべてを。」フィル・ナイト

作者はナイキの創業者。恐ろしくダラダラと長くてツマラナイ自伝です。しかし、とっても印象的なセリフがあり、まあいいか…、という気になります。 ー「貧困に対するただ一つの解決策は単純労働であり、それを多く提供することだ」(532ページ、一部エディッ…

「コンビニ人間」村田沙耶香著

ラディカルでロックだ。 カフカの「変身」のようでもあり、芥川龍之介を彷彿させるようでもある。「男を飼わない」と言っていた米原万里さんのことも思い出す。

「重力ピエロ」伊坂幸太郎著

「山椒魚は悲しんだ」 「メロスは激怒した」 …… 「春はあけぼの ようよう白くなりゆく山際…」 これで会話が成り立ってしまう。とても好きなタイプの小説だ。

「ロング・エンゲージメント」

WW1をモチーフに女性の視点で描かれたフランス映画、最初から最後までセピア色の映像が美しい。哀しみ、可笑しみ、フランス映画に良さがギッシリ。⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 写真はPCの中の映画の場面をスマホで撮影。問題ある場合、ご指摘ください。

“TESTAMENT OF YOUTH”

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ イングランドの美しい田園風景、静謐なオックスフォード大学、WW1西部戦線、存在すら知らなかったこの映画、素晴らしく気に入りました。原作はVera Brittain。

映画「黄金のアデーレ」

⭐️⭐️⭐️⭐️ 「記憶を思い出のモノと共に次の世代に受け継ぐ」大好きなタイプの映画。

「戦場のコックたち」深緑野分、東京創元社

合衆国陸軍第101空挺師団管理部付きコックたちの物語。 1944年のノルマンディー上陸から翌年5月のドイツ降伏まで一気呵成に自体は進んだ訳では無い。1944年のクリスマスを前にドイツ国境を前にして、オランダ、ベルギーで連合軍もひどい犠牲を被ることになっ…

「ドリナの橋」イヴォ・アンドリッチ

“THE BRIDGE OVER THE DRINA”, by Ivo AndricTranslated fro the Serbo-CroatThe Harvill Press, London 16世紀にトルコによって石橋がドリナ川に掛けられる。その石橋のあるビシェグラードを舞台に、400年弱にわたる人々の営みが、オムニバス形式で綴られ…

「海と月の迷路」大沢在昌(講談社文庫)

1959年、炭鉱のための島、軍艦島。5000人以上の住民が岩礁のような島に暮らしていた。学校、病院、映画館があり、そして駐在所。そこに赴任してきた若き巡査が主人公。 謙虚で、真面目で、冷静さを失わず、社会に対する自信の役割を愚直に追い求め、周囲とゴ…

「阿房列車」内田百間、中公文庫

「阿呆などと云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿呆だなどと考えてはいない。用事がなければどこへも行ってはいけないと云うわけはない。なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪に行って来ようと思う。」 こうして「…

「新版 放浪記」林芙美子

凄まじい生命力! 悲しさや惨めさをコトバとカラダで蹴散らし突き進む。自分自身に対する絶対的な自信のようなものを感じる。 そうだ、林芙美子は元祖「西原理恵子」だ!

FIFA Code of Conduct

何かないかな?と思っていたら、それらしきものがありました。 https://www.fifa.com/about-fifa/news/y=2002/m=4/news=code-conduct-for-football-81746.html

「その女アレックス」ピエール・ルメートル

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ いくつかの著名な賞を獲っているフランスの犯罪小説。テンポは速いがテーマはずっしりと重い。 「読むべきものを読む。なすべきことをきちんとやろうとする。勤勉。それはつまり、情緒的に未熟だってことか?」 主人公(カミーユ警部)の自問に虚…

サストロダルソノ家の人々

「サストロダルソノ家の人々ージャワ人家族三代の物語」ウマル・カヤム著、段々社 副題通りの内容で、ジョグジャカルタ、ソロ周辺といったジャワの奥座敷を舞台にした小説。いや、小説というよりは、小説の体裁をとった「近代インドネシアの歴史とプリアイ階…

Kristalnacht

「騎士団長殺し」村上春樹 “Whiplash: How to Survive Our Faster Future”, Ito Joi etc 村上春樹の作品はしばらく手にしていなかった。「海辺のカフカ」以来だと思う。物語のトーンは相変わらずで、結構ウンザリする部分も少なくない。でも一旦読み始めると…

「おらおらでいぐも」若竹千佐子

自身の心の底にある襞をかき分け、偽りのない自身を取り出し、相応しい標準語をあてがって作られた私小説は珍しくないと思う。「おらおらでいぐも」はそうでは無く、自身の言葉(母語)を載せていくことで出来上がった小説だ。圧倒されました。 「東北弁とは…

「AI vs. 教科書が読めない子供たち」新井紀子

「コンピューターが数学の言葉だけを使って動いている限り、予見できる未来にシンギュラリティが来ることはありません」 ここでいう数学の言葉とは、論理、確率そして統計だそうで、それ以上のものは現時点ではないそうだ。不完全な記号体系である自然言語の…

「お金 2.0、新しい経済のルールと生き方」佐藤航陽

平易な言葉で語られているけど、内容は極めてラディカル。 「お金はコモディティ化し、いまほど貴重なものとは考えられなくなると予想される」、とか 「人材やカスタマーベースはBSに表現されない」、とか面白い。 現代の貨幣の多くは中央銀行の信用に基付き…

「サイクス=ピコ協定百年の呪縛」池内恵(新潮新書)

まず最初に、「中東の混乱の原因はWW1時の悪名高きサイクス=ピコ協定。現在欧州が難民問題に苦しむのは当然。以上!」というような態度を真正面からバッサリ斬り捨てる。 オスマン帝国VSロシア帝国という切り口から「東方問題」を分析し、中東全体を俯瞰し…

WW1

“The Guns in August”, by Barbara W. Tuchman (1962) “The War That Ended Peace: The Road to 1914”, by Margaret MacMillan (2013) 「夏目漱石」(岩波新書)十川信介著 タックマン氏の著作はキューバ危機の判断の際にJFKが手元に置いていたという逸話も…

「首都大学東京 オープンユニバーシティ講座 大コーカサスの世界・ジョージア(グルジア)編III」

「1956年3月のトビリシ事件(1956Tbilisi Riot)」と名付けられた事件をこの講義で知った。そうして、ゆっくりと1990年4月に見たトビリシの街の光景が記憶の底から浮かび上がってきた。 私はトビリシの中心地に居た。目の前ある大通りにはカー…

「チェルノブイリの祈り」スベトラーナ・アレクシエーヴィチ

一番最初に消火活動を行った消防士の妻、疎開を余儀なくされた人々、精神科医、現地での対応に駆り出されたアフガン帰りの兵士、居住禁止地区に舞い戻ってきた人々(サマショール)、いろいろな形の「チェルノブイリ人」が、それぞれのチェルノブイリを語り…

衆院選の結果を見ながら想う

子供の頃から他人と同じというのは嫌だった。他人と異なっていることを求めていた。 そうやって年を重ね還暦まであと3年余り。自分の投票する政治家が落選したり、支持する政党が多数派になれないのは、仕様がないということか…。

ダーク・プレース

ギリアン・フリンの小説「冥闇」を映画化したものらしい。ゴーン・ガールのときも恐ろしい思いをしたが、この映画でも同じ。 心の底にひっそりと潜む闇、自分の記憶さえ曖昧にする。嫌な思い出は忘れ去られたり、別のストーリーに書き換えられるということを…

アメリカ海兵隊

「アメリカ海兵隊 非営利組織の自己革新」野中郁次郎著(中公新書) 「A Few Good Men」Tクルーズ、Dムーア、Jニコルソン 海軍とは違う、空軍でもない、もちろん陸軍でもない存在、海兵隊。出自、コアとなる価値観、歴史と変遷、置かれた環境を洞察しドメイ…